
Event at Philosophical Research Society, August 11 2026
REPORT:P.G. BRUNELLI
ウィーザーのニュー・アルバム「ウィーザー(ゴールド・アルバム)」のリリースに先駆け、全米各地で先行試聴会が開催された。8月15日、16日にファン向けに行われたレコード店のイベントでは、リリース前にアルバムを全曲聴くことができて、さらに無料でグッズが貰えたり、アルバムの好きなヴァージョンを予約することができた。インディ系レコード店限定の特別仕様盤もその中に含まれていた。また、各イベントにつき、2名のラッキーなファンに、今秋始まるツアーのチケットが当たるという企画も用意されていた。
こうしたイベントにはバンドは参加しなかったが、8月11日にロサンゼルスのフィロソフィカル・リサーチ・ソサエティで行われた、デジタルコンテンツ・クリエイターや一般メディア関係者を対象とした完全招待制のプライベート・イベントには、メンバーも登場した。参加者は大体150人ほど。最初は、食べたり、飲んだりしながら過ごしたが、その間会場では、スパンダー・バレエの「ゴールド」(’83)をはじめ、アルバムのテーマに合った音楽が流れていた。バンドが登場するのを待っている間、会場の外にはちょっと変わったテントが設置され、中に入ると、写真だけでなく、自分のオーラまで撮影してくれるという不思議なフォトブースがあった。さすがにスピリチュアルすぎて並ぶ気になれなかったので、僕はパスした。同じく、近くのテーブルに座っていた占い師によるタロット占いも遠慮しておいた。自分の未来なんて、あまり知りたくないし(笑)。1時間ほど経つと、参加者全員が会場内のホールに着席するよう案内された。ステージには、5脚の椅子が並べられていた。4脚はメンバー、もう1脚はインタビュアーのためのものだ。一般的なQ&Aという形式ではなかったため、客席側から質問する機会は与えられなかった。
4人の中でリヴァース(・クオモ、vo./g.)が一番シャイだが、そんな彼にもおもしろい一面がある。本作の制作プロセスについて訊かれると、“最初に、みんなにデモを聴かせたんだけど、誰も気に入ってくれなくて…”と答え、会場を笑いに包んだ。これによって場の空気が和み、曲作りのプロセスについての質問が続いた。“かなりリラックスした状態で、ゆっくり時間をかけながら曲作りをしたよ。(元)パニック!アット・ザ・ディスコのダン(・パウロヴィッチ)の家にも行ってね。コスタメサにある彼の家のリビングにずっと居座ってたんだ。彼自身はほとんど家にいなかったんだけど、あんな風に使わせてくれて、本当にいい奴だよね”。
本作には、“5人目のメンバー”と呼ばれるカール(・コーク)も初めて曲作りに参加していて、それに関してリヴァースは、“彼は、僕らがウィーザーを結成する前からずっと一緒にいるんだ。古いフォード・ブロンコIIのバンで、リハーサルやライヴ会場に僕らを乗せて行ってくれてね。長い間ずっとウィーザーという存在の一部なんだよ”と説明していた。パトリック(・ウィルソン、dr.)も本作の曲作りに参加したが、その経験をこう振り返った。“凄く怖かったけど、楽しくもあったよ。制作プロセスとしては、リヴァースが持ってきた曲をみんなで演奏するんだけど、とてもオープンな雰囲気で、例えば、‘この歌詞、ちょっとイタイから変えない?’とか、みんな思ったことは自由に言えたし、まさにコラボレーションしながら作っていくような感じだった”と明かした。また、ブライアン(・ベル、g.)も“曲はどんどん違う形へと姿を変えていった。デモに忠実でいなきゃいけないという恐れはなかったし、曲にあるエネルギーを受け取った上で、そこから色々探っていったんだ。それによって、曲はどんどん進化していったし、きっとライヴを通して、さらに進化していくことになると思う”とつけ加えた。リヴァースに対しては、“本作を作るにあたって、「The Encyclopedia o’ Pop(’99年に、リヴァースが作ったポップ・ミュージックの百科事典)」を引っ張り出してきて、参考にすることがあったか?”という質問もあったが、きっぱり“ノー”と答えていた。他のメンバーが曲を完成させるのを手伝ってくれたことで、今回は必要としなかったようだ。
Q&Aが終わると、アルバムの再生が始まった。会場の外にいても聴こえるため、中に残って聴く必要はなく、参加者のほとんどが再び外に出て行った。きっとみんな僕と同じように、なんらかの形ですでにアルバムを聴いていたのではないかと思う。実際に、自分たちの会話や交流のBGMとして受け止めている人が多く、中に残ってしっかり聴き入っている人はほんのわずかだった。それでも、このイベントをきっかけに沢山のレヴューが公開されたことを考えれば、会場で参加者がどのように過ごしていたかはさておき、アルバムのプロモーションをスタートさせるという意味では、その役割を充分に果たしたと言えるだろう。
その後、メンバーも現れ、メディア関係者や友人たちと交流を始めた。しかし、リヴァースは、ほんの一瞬目を離した隙に消えていた。そして、その後、二度と姿を見ることはなかった。スコット(・シュライナー、b.)に、リヴァースの行方を訊いてみたところ、“よっぽど何か大変なことになってない限り、彼の居場所なんて把握してないよ”と言われたが、居場所を把握していないのに、どうやって彼が“大変なことになっている”と分かるのだろう?という疑問が湧いた。もうひとり、早々に姿を消したのはブライアンだ。その一方で、パトリックとスコットは最後まで会場に残り、友人たちと話したり、「ピンカートン」(’96)のレコードにサインをしたりしていた。
イベントが終わりに近づく頃、改めて僕はこう思った――
ウィーザーには、自分たちの現在と未来が“ゴールド”であることを知るためのタロット占いなんか必要ない、と。■
アルバム「ウィーザー(ゴールド・アルバム)」発売中

ウィーザー(ゴールド・アルバム)
2026.08.21 発売¥3,410(税込)/WPCR-18864
https://wmg.jp/weezer/discography/33450
来年2月に待望の来日公演、チケット発売中
https://www.creativeman.co.jp/artist/2027/02weezer
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